タナカソウ (田中草) 

ホンゴウソウ科 ホンゴウソウ属
 Sciaphila megastyla

山地の林床、林縁の落葉の間に生える多年草で菌従属栄養植物。地下茎は白色、地上部は全体に赤紫色を帯びる。 根は放射状に横に広がり細かい側根を多数つける。草丈は7〜17cm、殆ど分岐しないか基部で分岐する。
葉は鱗片状で卵形、長さ約3mmで基部は茎を抱く。
総状花序は長さ1〜7cm、5〜15花をつけ、上部に雄花、下部に雌花をつける。雄花は径6〜9mm、花被は紫紅色で6裂し、 裂片は細い線形で開出し、長さ約3.5o、雄しべは3個、花枝は短く、基部は互いに合生している。
雌花は直径約6〜9mmで、花被は6裂し、長さ約3.5o。集合果を作り、直径3〜5o、花柱は長い。
分布は沖縄県、台湾。開花は3〜6月。

最初に見つけたこの株は7月ですが、すでに花期は過ぎていました。この時はウエマツソウと思っていたが
分岐しないで立つ姿や疎らにつく花の様子でこれもタナカソウの様です。雌花はすでに結実期に入っている。
国頭村 2010.7.4

ヤンバルヤツシロランの観察に出かけた時に近くで生えていました。開花期が3月からという事が分かります。
国頭村 2016.3.12 この日のブログ

国頭村 2016.3.12

3月12日とは別な場所で見つけた。
国頭村 2016.4.7

3個目の自生地発見。まだ出始めの小さい株でした。周りにはヤンバルヤツシロラン、ツツザキヤツシロランが多数あった。
国頭村 2018.3.15

当初、沖縄県で見ていたものはウエマツソウのみと思っていましたが、 場所によっては花の付き方や開花期に違いがあるという事がわかり、 神戸大学の末次さんの指導を受けながら観察を続けていましたが、その多くが台湾で記載されたSciaphila megastylaと同一であることが 末次さんらの研究によって明らかになりました。よく似るウエマツソウも自生はありますが、まず、開花期が違う事、雌花の花柱が目立って長く、 草丈もウエマツソウよりも高く花がやや大きく、疎につく事などの違いがあります。

同定の為の標本を用意しました。まだ地上部10cm程度の若い株。地下茎は白色、白い放射状に根が広がる。若い雌花(中・右)
国頭村 2018.3.20



(標本その2)
根は放射状に横に広がり細側根を多数つける。
地上部は12cm程度。地下部は25cm程度

国頭村 2018.3.25

雄花は径6〜9mm、花被は紫紅色で6裂し、 裂片は細い線形で開出し、長さ約3.5o、雄しべは3個。
雌花は直径約6〜9mmで、花被は6裂し、長さ約3.5o。集合果を作り、直径3〜5o、花柱は長い。
雌花はウエマツソウに比べて花柱が長く、突起状のザラつきが見える。
国頭村 2018.3.25

(左)新鮮な雌花。 (中・右)花期の後半は花柱が少しづつ退化してくる。
国頭村 (左)2018.5.5 (中・右)2018.5.22

2月の後半、様子を見に行くともう出ていました。草丈は5cm足らずでもちゃんと咲いてます。
国頭村 2019.2.23

花期としてはやはり3〜4月が良い様に思えます。これは茎の途中で分岐しています。
国頭村 2019.3.13

花付きの良い株がありました。地上部の高さ17cm、基部で2個に分岐していて全体で雄花14個。雌花6個。
国頭村 2019.4.3

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